C2(8) 抽象画の宿命

 写真のなかった時代の絵を見るとき、当時の習俗を知る参考資料としての意味合いがある。作家の創造性を見るよりも、参考資料として見るという面が強いと思われる。これは、作家の意図するところとは違うかもしれないが、作家は、見る人にわかってもらうために、現実にある物を材料として絵を描いていることから、可能となる。
 写真のなかった時代に抽象画があったのかどうか、私は詳しくない。しかし、美術館や画集で見る限り、大部分は具象画なのではないか。(もちろん具象画でも、部分的に抽象化されたところは多数あると思うが、それが何かは、ある程度わかるものだと思う。)抽象画では、参考資料として利用することはむつかしいのではないかと思われる。
 抽象画も、作家は無目的に描いているものではないだろうから、1つの言語の世界が展開されていると言っても良いだろう。そして、その言語は、未知の世界のものだろう。
 こうして考えてくると、抽象画は宿命的に難解さがあり、大きなハンデがあることを感じざるをえない。


投稿者名 管理者 投稿日時 2011年11月30日 | Permalink