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取引内容の不自然な変動

 取引相手との関係を,継続的供給関係に置くことが多い日本であるが故に,大きなヒントが眠っている場合があります。

取引数量の大幅変動

 取引数量・品目が突然減少した場合を想像して下さい。取引縮小を図る際,下請先との関係を大きく崩すことになるので,事前に生産計画の共通認識を得ていたり,在庫を持たせないように周知することが通常です。しかし,何の前触れもなく,突如数量・品目が減少したケースでは,仕入原価の負担度合いが高まっていたり,瑕疵等により販売ルートを喪失していたりと,自己のマイナス事情が関与している可能性があります。
 逆に,取引内容を急増させたり,突然の大口発注を掛けることも不自然です。取引実績の少ない商品に関しては,販売方針の策定,慎重な生産計画を練ることが通常です。こうした取引数量の極端な上昇は,商品自体又は転売代金債権を担保提供する目的で実施されている可能性があります。

取引条件の変更要請

 検収期間や研修条件については,商人間取引での迅速性確保のため,基本契約書で明確に定めていることが多いでしょう。しかし,そうした検収期間や検収条件の変更要請があった場合,品質向上目的であれば格別,実際には下請事業者に発注済みの商品が売れないために受領拒否目的で実施されている場合が散見されます。
 同様に,理不尽な単価引き下げ要求,これまで主張していない類のクレームをつけてくるような場合も,発注済みの商品の受領拒否目的で実施されることが多くあります。
 納入場所を何時もと違う倉庫に指定されたケースも,在庫商品を譲渡担保に供する目的で実施された可能性があり,見逃すことができない兆候です。


投稿者名 柴垣直哉 投稿日時 2017年06月15日 | Permalink