人が育つ場
「育てる」と「育つ」は、よく対比されるが、違うようでいて、似ているところがある。何もない中で、「育つ」を期待しても、虫がいいやり方でしかないだろう。逆に、「育てる」ことばかり考えても、荷が重くなり、また、独善に陥る可能性もある。「育てる」と「育つ」は、見方の違いのようにも思う。
しかし、言われたことを繰り返す、単純労働ではなく、相手に応じて対応する必要がある仕事になるほど、「育てる」と「育つ」という2つの見方を意識する必要性が高くなるだろう。デザインなど感性の求められる仕事や、顧客の強い要望が出てくる仕事などが、そうであるし、弁護士の仕事も同様だ。
基本的には、「育てる」という工夫は、先ず最初に必要になるだろう。しかし、それだけでは自発性が出てこなくなり、足りない。人が育つ場とは何かを考えざるを得ない。
そのためには、その仕事で求められるアウトプットは何かをはっきりさせ、各人に対して、それに向けた準備・行動を求めていくしかない。形が柔軟な箱をつくり、そこでのアウトプットを示し、その中の一応のルールを明示して、ボスは、そこでの各人の展開を観察するというやり方である。
仕事により、やり方は様々であるけれども、「自分は、人が育つ場をどうしているか?」を考えてみることは必要だと思う。