近時、時間外労働が問題となっています。法令遵守の立場から、確認をする必要があります。

? 労働時間及び休日について 
1 原則
(1) 労働時間は、一般には1日8時間、1週40時間以内とされている(労基法32条1項)。
(2) 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない(労基法35条1項)。

2 例外
 過半数組合等との労使協定書を締結した場合、または就業規則に定めがある場合には、下記の変形労働時間制を組む   ことができる。
(1) 1ヶ月以内の一定期間(対象期間)を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内で、1ヶ月単位の変形労働時間制を組むことができ(労基法32条の2)、この場合には、特定された週、もしくは日において、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることができる。
  
   変形労働時間の限度は、31日の付きは177時間、30日の月は171時間である(40時間×変形期間の日数/7)。

(2) 1ヶ月を超え1年以内の対象期間を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内で、特定された週、もしくは日において、1年単位の変形労働時間制を組むことができ(労基法32条の4)、この場合には、特定された週、もしくは日において、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることができる。

   変形労働時間の限度は、1日10時間、週52時間である。
   ただし、対象期間が3ヶ月を超える場合には、以下の制約がある。
   ⅰ 労働時間が48時間を超える週を連続させることができるのは3週以下。
   ⅱ 対象期間を3ヶ月ごとに区分した各期間において、労働時間が48時間を超える週は、週の初日で数えて3回以下。

   なお、変形労働時間においても、週1回の法定休日は必要である。


 時間外労働時間の限度 
1.時間外労働時間の限度
 労働基準法36条に基づく過半数組合等との一定の労使協定書(いわゆる「36協定」)を締結すれば、下記の時間まで時間外労働をさせることができる(労基法36条)。
(1)通常の勤務時間制の場合及び対象期間が3ヶ月以内の変形労働時間制の場合
    1週15時間、1ヶ月45時間、1年360時間

(2)対象期間が3ヶ月を超え、1年以内の変形労働時間制の場合
    1週14時間、1ヶ月42時間、1年320時間

2.特別条項付き協定
  納期の逼迫など、特別の事情がある場合、労使間で特別条項付き協定を締結することで、上記の制度を超えて時間外労働させることができる(時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号))。
  ただし、以下の点に注意する必要がある。

(1) 特別条項付き協定では、延長時間の法的な上限は定められていない。
   しかし、協定であまりに非常識な時間を定めると、労働基準監督署の指導・調査が入る可能性が高い。
   なお、延長時間の法廷の上限はないが、協定で定められた限度を超過すると法令違反となる。
(2) 特別条項付き協定の回数は、年間の半分までにしなければならない(1ヶ月単位で定めれば6回まで、1週単位なら26回まで等)。超過すると、法令違反となる。
(3) 1週間に1日は、必ず休日を設けなければならない。
(4) 時間の上限の法的規制はないが、長時間労働による事故、病気等には会社の責任が問われる。

 (特別条項付き協定の例)
「一定期間についての延長時間は1ヶ月30時間とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期が逼迫したときは、労使の協定を経て、1ヶ月50時間までこれを延長することができる。この場合、延長時間をさらに延長する回数は、6回までとする。」


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