被相続人の意思に基づき、一定の行為があった推定相続人について、その相続権を剥奪させる制度を「相続廃除」といいます。
 相続廃除は、相続欠格のように一定の事項に該当すれば当然に相続権が剥奪されるというものではなく、被相続人の意思に基づき、家庭裁判所に廃除の申立をする必要があり、被相続人が生前、自ら家庭裁判所に対し推定相続人廃除の申立をする方法と、遺言書に相続廃除を希望する旨記載し、被相続人の死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に審判の申立を行う方法があります。そして、家庭裁判所で廃除の審判が確定すると、当該相続人は相続権を失うことになります。
 廃除の請求を出来る相手は、推定相続人のうち「遺留分を有する推定相続人」のみです。遺留分を有しない推定相続人(兄弟姉妹)については、遺言で相続人から除外したい旨を記載すれば、完全に相続させないことが可能であるためです。
 なお、相続廃除は、被相続人との関係で個別に判断されるため、例えば父との関係で相続廃除となった者が、母との関係で母の相続人になることは問題がありません。
 また、相続廃除は代襲原因に該当するため、相続廃除となった者に子や孫などの直系卑属がいる場合には、その直系卑属が代襲相続人となり相続します。

<廃除の請求対象となる事項(民892)>
1 被相続人に対して虐待をしたとき
2 被相続人に対して重大な侮辱を加えたとき
3 その他著しい非行があったとき


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