最近の自動車保険には自動付帯(いわゆるセット)で弁護士費用特約が付けられている場合が多くあります。もともと弁護士費用特約は、保険会社の示談代行ができないいわゆる10対0の過失割合の場合(例えば、追突事故などの交通事故を受けた場合)を想定されて保険商品として開発されたものです。実際、保険会社によっては弁護士費用特約という言葉でなく「もらい事故アシスト」といった特約名を使っている会社もあります。
しかし、実際の弁護士費用特約の約款は過失割合によっては限定されず「保険会社の同意を得て」という内容になっていることがほとんどです。つまり、弁護士費用特約は特に過失割合に限定されずに補償の対象となっています。
交通事故の当事者の方の中には、自分の過失割合が大きく加害者的な立場にあることから、弁護士費用特約が使えないと誤解されている方がみえます。
過失割合が大きいケースでも弁護士費用特約が使えるケースがありますので、交通事故に遭われて弁護士に依頼したいと考えられた場合には、一度、ご自分の自動車保険に弁護士特約が含まれているかご確認いただき弁護士にご相談ください。


 任意保険の締結は、ドライバーまたは自動車の所有者として最低限のマナーと言って良いと思います。
 ただ、任意保険には保険会社ごとで様々な商品がありますので、ここでは典型的な自動車保険(BAP)、自動車総合保険(PAP)、自家用自動車総合保険(SAP)を中心に解説をします。
 BAPは用途、車種を問わず全ての自動車が対象となり、保険料も比較的低額なので、トラック等の運送事業用の自動車にこの保険が選ばれることが多いようです。
 一般の自動車の場合は、PAPかSAPを選択することが多く、車両保険も付けたいときはこれもセットになったSAPを選択するのが通常ですが、支払保険料が高くなるのがネックです。PAPでも、対人賠償、対物賠償、自損事故、無保険車傷害、搭乗者傷害はセットされているため、加害者になったときの最低限の備えにはなります。
 また、最近ではSAPよりワンランク上の保険(名称は各社によってまちまち)もスタンダードになりつつありますが、SAPとの主な相違点は人身傷害保険がセットされているか否かです。人身傷害保険は、事故の過失割合にかかわらず、自車に乗車していた方が傷害等を負ったときに保険金が支払われるというものですから、つまりは、自分が「被害者」になったときの備えを必要とするか否かがポイントです。当然ですが、SAPよりも更に支払保険料は高くなります。
 以上は大雑把な基本契約の分類であり、この基本契約をベースに色々な特約を上乗せすることができますから、自分がどのような契約をしているのか知らないドライバーの方が多いのではないでしょうか。以前、損害保険会社の特約部分に関する保険金の支払漏れがマスコミでも大々的に取り上げられましたが、最近の任意保険は非常に分かりにくくなっていますので注意が必要です。


交通事故によって人がケガを負ったり死亡した場合、その損害を填補する保険として一番有名なのは、「対人賠償保険」です。しかし、これ以外にも「搭乗者傷害保険」「人身傷害補償保険」といった種類の保険もあり、違いが分かりにくくなっています。
この中でも「人身傷害補償保険」は平成10年に某有名損保会社から鳴り物入りで発売された、比較的新しい保険です。
「人身傷害補償保険」は、自動車事故により、被保険自動車または他の車に乗車中の者(運転者を含む。)が「死亡」「後遺障害」「身体に傷害」を負った場合に過失割合にかかわらず契約金額の範囲内で保険金が支払われると定義されていますが、要するに、この保険のポイントは、?自分がケガを負った場合にも支払われる点(対人保険では、他人にケガさせた場合が対象ですので、自分がケガをした場合には支払われません。)、?過失割合にかかわらず支給される点にあります。
最近の損害保険の商品には、ほとんど「人身傷害補償保険」が含まれています。
事故によって、相手方だけでなく自分もケガを負ってしまったという場合には、「人身傷害補償保険」が使えないか検討するとよいでしょう。