交通事故損害賠償における慰謝料とは,交通事故によって被った精神的損害に対する賠償であり,傷害慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料等に区分されます。なお,慰謝料は交通事故に特有な損害項目ではありません



 被害者からすれば,事故によって多大な肉体的・時間的・費用的損失を被っているわけで,その精神的な苦痛は甚大であると感じることが多いでしょう。ですのでできるだけ多額の慰謝料の請求をしたいと考えるのは当然です。また,アメリカ等では極めて多額の賠償(懲罰的損害賠償と言われることもあります)が認められたとの報道を耳にすることもよくあります。とすれば,日本でも同じように多額の慰謝料が認められて然るべきとの考えもありうるでしょう。



 しかしながら,我が国の場合は,例えば傷害慰謝料であれば通院期間(日数)や入院期間(日数),後遺障害であればその等級など,客観的要素によって,おおよその慰謝料額が類型的に決まるのが通常であり実務の運用です。このような運用は,一見,個々の事案における被害者の主観的事情を重要視しておらず,画一的で妥当でないとも思えますが,見方を変えれば,事故の類型ごとに平等な取り扱いがなされているとも評価することもできます。




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