【相続手続きの流れ】
         1.被相続人の死亡(相続開始)
       <市区町村長に死亡届を提出(7日以内)>
                   ↓
         2.遺言書があるかないかの確認
  <自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は家庭裁判所の検認が必要>
                   ↓
              3.相続人の確定
               <相続人調査>
                   ↓
             4.相続財産の調査
                   ↓ 
         5.相続放棄・限定承認手続
  <被相続人名義の借金がある場合は、相続放棄や限定承認を検討し、
      相続開始を知った時から3ヶ月以内に手続きを行う。>
                   ↓
              6.準確定申告
       <所得税の申告・納税を行う(4ヶ月以内)>
                   ↓
              7.遺産分割協議
  <相続人全員で遺産分割方法を話し合い、遺産分割協議書をまとめる>
                   ↓
           8.遺産の分配・名義変更
   <不動産所有権移転登記や預貯金の名義変更などを行う>
                   ↓
           9.相続税の申告・納税
       <税務署へ申告・納付する(10ヶ月以内)>


【弁護士の関与】
「3 相続人の確定(相続人調査)」「4 相続財産の調査」
 戸籍や不動産登記簿謄本などの調査が必要ですが、時間や手間がかかるため、相続人の方がご自分で取得することが難しい場合等、弁護士が代わって手続きをします。

「5 相続放棄・限定承認手続」
 必要書類を揃えて迅速に家庭裁判所に申述する必要があり、弁護士が委任を受けて手続きを行ないます(「限定承認、相続放棄」参照)。

「7 遺産分割協議」
 弁護士は相続人から依頼を受けて協議をまとめたり、協議が決裂した場合には家裁へ調停の申立をしたりします。


        <1> 相続人間での遺産分割協議
                    ↓
               (協議決裂の場合)
                    ↓
        <2> 家庭裁判所での遺産分割調停
                    ↓
               (調停不成立の場合)
                    ↓
       <3> 家庭裁判所での遺産分割審判
                    ↓
           (審判内容に不服がある場合)
                    ↓
       <4> 高等裁判所への即時抗告
                    ↓
 (憲法で保障された財産権を侵害しているなど、憲法違反の理由がある場合)
                    ↓
       <5> 最高裁判所への特別抗告


家庭裁判所での遺産分割事件には、調停手続と審判手続とがあります。
手続きを受理してもらえる裁判所の管轄は、原則として以下の通りです。
・ 調停の場合:相手方の住所地の家庭裁判所(相手方が複数いて住所地が異なる場合は、そのいずれかを選択)  
※ 当事者間で合意があれば、合意した裁判所への申立が認められます。
・ 審判の場合:被相続人の住所地又は相続開始地の家庭裁判所

法律上は調停と審判のどちらかを選択して申立できることとなっていますが、実務上はまず調停手続きで当事者間の話し合いを経て、それでまとまらなかった場合に審判に移行するという運用がとられており、調停不成立後の審判手続きでは調停手続きを行った裁判所が手続きを引き継ぐことが一般的です。
ただし、相続財産の鑑定等に著しい支障をきたすなどの事情があれば、審判手続きの原則通り、被相続人の住所地又は相続開始地の家庭裁判所への移送が認められます。