プロフィール

・平成1年(1989年)生まれ。岐阜県出身
・平成23年 金沢大学人間社会学域法学類 3年次卒業
・平成26年 名古屋大学法科大学院修了
・平成27年 司法研修所入所(第69期)
・平成28年12月 愛知県弁護士会に弁護士登録

所有権と著作権

 所有権と著作権、この2つは大きく異なります。
 所有権は有体物、つまりモノを自由にできる権利です。一方、著作権は無体物、つまり目に見えない部分について発生する権利です。
 この2つを混同してしまうと、トラブルの原因となります。たとえば、契約書上、制作を依頼した物の所有権の移転時期が明記されていたとしても、それは所有権の所在についてのみ意味をもつものであって、著作権の帰属には何ら影響を及ぼしません。
 映像や音楽の制作・編集等に関して契約を締結する場合、成果物の所有権に気をとられて著作権の所在をおろそかにしないようにすべきです。繰り返しますが、所有権と著作権は全く別の権利です。


投稿者名 河本和寛 投稿日時 2017年09月08日 | Permalink

共同研究開発契約

 共同研究開発契約とは、複数の当事者が共同して目的物を開発する際に締結される契約です。対等な当事者間で締結される場合にも問題は生じ得ますが、大企業対中小企業といった構図で契約が締結される場合、そこには成果物の帰属から経緯分担、情報の流出など、様々な問題が生じ得ます。
 たとえば、開発にあたって重要な情報があるとします。共同研究開発契約書では、この情報について「開発に必要と認められる範囲で開示する」という条項を盛り込むことが一般的でしょう。しかし、この条項では、情報を保有する側が情報を開示する義務を有するように読めることもあり、相手方が情報保有者の情報を収集しやすくなります。さらには、一度情報が流出すると、双方の有する情報が混在しかねず、最終的には流出した情報について自己の権利を主張しにくくなってしまいます。
 このような問題を回避するための1つの策としては、情報を保有する側が自己の裁量によって開示の有無及び範囲を決められるような条項にすることが挙げられます。もっとも、相手方との間に力関係がある場合、そのような条項で相手方が素直に納得してくれるとは限りません。しかし、最初から情報保有者に不利な表現をとる必要はありません。まずは情報保有者にとって有利な条項で契約交渉を進めてみてはいかがでしょうか。
 このように、共同研究開発契約の締結に際して自己の技術力を保持するためには、契約書の表現などが非常に重要となります。あらゆる契約書において、各条項の表現が非常に重要であることは言うまでもありませんが、共同研究開発契約を締結する際には、より一層、各条項の意味を確認されてみてはいかがでしょうか。


投稿者名 河本和寛 投稿日時 2017年04月21日 | Permalink

賃貸借物件と消防設備

 事業のためにテナントを借りる際、消防設備の状況を意識していますか。賃料や原状回復範囲などについては当然意識されると思いますが、消防設備については意外と見落としているのではないでしょうか。
 どの程度の消防設備を設置しなければいけないのか。これは消防法やその関係法令によって定められています。
 消防設備の設置・点検に関する費用負担などを事前の契約で定めなかったがゆえに、後にもめることのないよう、契約締結の段階では意識しておいた方がよいでしょう。


投稿者名 河本和寛 投稿日時 2017年04月11日 | Permalink

契約書作成の際の注意点

 契約書を作成するとき、皆さんは何を意識していますか。
 通常、契約書というものは、相手方と新たな関係を構築する際に作成することが多いため、相手方との関係が壊れた場合まで意識して作成することは少ないといえるでしょう。
 しかし、契約をめぐるトラブルは、得てして相手方との関係が壊れた場合に顕在化します。
 したがって、契約書を作成する際には、契約の解除や損害賠償の定めなど、契約が終了する場合に問題となる規定を意識した方がよいでしょう。


投稿者名 河本和寛 投稿日時 2017年03月15日 | Permalink

重要事項説明書とは

 皆さんが住宅などを購入・賃借する際、必ず重要事項説明書というものが交付されます。しかし、この重要事項説明書を皆さんはどこまで注意して見ていますか。実はこの重要事項説明書には様々な情報が記載されています。
 そもそも、不動産取引における重要事項説明書とは、宅地建物取引業法35条を根拠としたものです。この条文は、住宅などを購入・賃借する際に、相手方が最低限説明しなければならないことを定めており、この説明事項を書面化したものが重要事項説明書になります。
 しかし、皆さんも身に覚えがあるかもしれませんが、実際には重要事項説明書の記載1つ1つを口頭で説明されることはありません。書類を渡され、本当に重要な記載をいくつか説明されておしまいです。
 ですが、本来、重要事項説明書は契約を締結するかしないかを判断する材料として交付されるものであり、非常に重要なものです。
 また、重要事項説明書は法律で定める最低限の記載事項を記載したものがほとんどであるため、実際に居住するにあたっては重要な要素であるのに重要事項説明書には記載されていないということは多々あります。
 後に「話が違うじゃないか!」として納得いかないまま住宅に住み続けることを避けるためにも、契約をする際には重要事項説明書などの交付書類をよく読み、住宅の構造や周辺環境などについて、少しでも気になることは積極的に確認するようにしましょう。


投稿者名 河本和寛 投稿日時 2017年02月22日 | Permalink