民法改正による商法改正(4)

その他の商法改正

これまで3項目について、民法改正に伴う商法改正の条文を取り上げてきたが、その最後として、文言訂正的な改正や実質改正ではないものについて整理することとする。

商法526条の改正

民法改正により、瑕疵担保責任は、契約不適合による債務不履行責任とされたため(改正民法562条~565条)、商事売買の場合の瑕疵担保責任の特則である商法526条においても、「売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があること」を、「売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないこと」と、改正民法の文言にすりあわせることとした。

商法567条、765条及び798条の改正

商法567条は、運送取扱人の委託者又は荷送人に対する債権の消滅時効の規定であり、商法765条は、船舶所有者の傭船者、荷送人又は荷受人に対する債権の消滅時効に関する規定であり、商法798条1項は、船舶の衝突による損害賠償請求権の消滅時効の規定である。
改正民法は、消滅時効の起算点について、主観的起算点と客観的起算点とに区別して規律されたために(改正民法166条1項)、これらの消滅時効についても、改正民法に合わせてた起算点として改正された。

商法576条の改正

改正民法は、危険負担に関する規律について、反対給付の履行拒絶権として規定することとしたたため(改正民法536条)、運送契約における危険負担に関する特則であった商法576条も、同様な内容に改正された。

商法592条の2の新設

改正民法は、職業別の短期消滅時効規定をすべて削除したため(改正前民法170条~174条)、商法に、陸上旅客運送人の運送賃に係る債権の消滅時効期間を1年とする規定を新設して対応することとした。


投稿者名 池野 千白 投稿日時 2018年03月08日 | Permalink