遺産分割協議後に見つかった遺言が、相続人資格の変更にかかわる内容であった場合について、以下に例を挙げて説明します。

(1)子を認知する旨の遺言の場合
 この場合、遺言発見前になされた遺産分割協議の段階ではまだ認知の事実が判明していないため、被認知者が除外されているはずですが、被認知者を除外してなされた分割協議も無効ではなく、価額賠償の請求ができるのみ(被認知者は、遺言適用による相続分の主張をすることはできない)であるとする説が有力です(民法910条の類推適用)。

(2)相続人のうちの誰かを廃除する旨の遺言の場合
 この場合、遺言に廃除の記載があるだけで直ちに廃除の効力が生ずるのではなく、家庭裁判所による廃除の審判が確定することで効力が生じます(「相続廃除」欄参照)。
遺産分割協議をなした相続人の1人につき廃除の審判が確定した場合は、「相続人でない者を加えて遺産分割がなされた場合」として、その分割協議の効力が判断されることとなります(「相続人でない者を加えて遺産分割協議をした場合」欄参照)。

(3)相続人の廃除を取消す旨の遺言の場合
 廃除の取消しの遺言も、(2)廃除の遺言と同様、家庭裁判所による廃除の取消しの審判が確定することで取消しの効力を生じます。
 廃除されていた者が除外されて遺産分割協議がなされた後、遺言に基づいて廃除の取消しの審判がなされた場合には、相続人の一部を除外して分割協議がなされたことになるため、このような分割協議は無効となります。


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