・株式
株式は、相続により共同相続人の準共有(民法264条)に属します(準共有とは、数人が共同して、所有権以外の財産権を有する状態をいいます)。すなわち、株式の名義書換え等の処分は相続人全員の合意を前提として行われる必要があり、分割の合意がまとまるまでは、各相続人は、株券発行会社又は株主名簿管理人(信託銀行など)に対して単独で自己の法定相続分に応じた株式の名義書換えを請求することはできません。
分割の方法としては、遺産分割協議、調停、審判、共有物分割請求手続きなどがあります。
 特定の者が取得するという合意が調った場合には、株券発行会社に対し、被相続人から相続人への名義変更の手続きをとることになります。
株券が証券会社の保護預かりとなっている場合には、名義変更手続きはその証券会社の窓口で行ないます。

・預金債権(金銭債権)
株式と違い、預金債権などの金銭債権は、相続開始とともに当然に法定相続分に応じて各相続人に分割される、というのが判例の考え方です。この立場によると、遺産分割を待つまでもなく各相続人が単独で自己の相続分についての払戻請求ができることになります。
ただし実際の実務では、銀行等金融機関は、相続人全員の同意が確認出来ない限り個々の相続人からの法定相続分に応じた預金の払戻しには応じていませんので、相続人全員の同意書や遺産分割協議書、または銀行所定の払戻請求書に相続人全員の印鑑証明書を添えて提出することなどが必要となります。


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