信託は、財産の管理制度としては優れていると考えています。(もちろん税法上、改善されると良い点もありますが。)ところが、信託は、日本ではあまり普及していないようです。
 その原因は、信託が、不動産について、受託者に名義を変更する点にあります。信託を利用する必要がある人は、不動産を所有する人であり、年配の方が多く、この名義変更に抵抗感が強いのです。
 信託の利用を考えるのは、自分が、将来、認知症になるおそれがあることなどを考えたからです。ですから、自分に何らかの衰えが生じることを前提としているので、ある程度、誰かの力を借りることが必要です。不動産の名義を受託者に変え、自分は受益者として、受託者から保護を受けるのですが、感覚的に立場が弱くなると感じるのでしょう。
 このことは、信頼に足る受託者を見つけられないということでもあります。自分の将来を考えれば、誰かに任せるしかないと考えるべきなのか、いや、まだ自分はがんばるぞと思うのか、は難しい判断かもしれませんが、若い人の立場に立てば、どこかで信頼する人を見つけるべきでしょう。


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