遺留分制度とは、亡くなった人(被相続人)の相続財産について、相続人に一定割合の承継を保証する制度である。遺言によって侵害できない一定割合があるということである。
 遺留分制度があることにより、会社経営の承継を円滑に進めるために、後継者に株式を集中させようとしても、それが否定される可能性がある。
 生前に遺留分をあらかじめ放棄してもらう制度はある。しかし、遺留分を放棄する人が、自ら、家庭裁判所に遺留分放棄の許可を申立てなければならず、また、いかなる場合も許可されるものではないため、使いにくい面がある。
 もう一つの対策としては、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継法)がある(平成20年10月1日施行)。
 推定相続人全員の合意により、後継者が旧代表者から贈与された特例中小企業者の株式等の全部又は一部につき、(1)その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこととする制度(除外合意)、(2)遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、その合意の時点における価額とする制度(固定合意)、がある。
 平成21年の年間の利用件数が全国で7件であるが、選択肢の1つである。


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