遺言の検認は、遺言書の偽造や変造が行われることを防止するために、遺言に記載されている内容を確認するための手続きですが、遺言が有効であることを確定する効果はないことに注意する必要があります。
 したがって、検認の手続きがなされた後であっても、当該遺言が遺言者以外の者によって偽造されていた可能性などがある場合には、遺言無効確認訴訟を提起することで遺言の有効性を争っていくことができます。その際には、筆跡が遺言者と一致するか否か、遺言内容が遺言者の生前の行動と整合的か否か、遺言を発見した経緯等の様々な事情を考慮して遺言の有効性が判断されることになります。
 また、遺言書に「預金を与える」旨の記載があるため、貯金の相続をした相続人が銀行等の金融機関に行っても預金を払い戻そうとした場合、検認の手続きを経ていても、金融機関から払い戻しを断られることがあります。検認が済んでいても、上記のように遺言の有効性を争われることがあるため、金融機関としてはその争いに巻き込まれるリスクを避けているためです。この場合は、法定相続人や受遺者が払い戻しに了解して署名捺印した「相続関係届出書」を金融機関に提出することで、金融機関は払い戻しに応じてくれます。


シェアする