遺言者は、特別の理由がなくても、いつでも自由に遺言の全部又は一部を撤回することができます。
また、民法は、遺言がなされた後、一定の事実があったときは、遺言者の真意を問わずに遺言の撤回があったものとみなしています(法定撤回)。たとえば、相続人Aに不動産を相続させるという遺言をしていたが、その後遺言者が当該不動産を第三者Bに贈与したり売却した場合、この部分については遺言を撤回したものとみなされます。
 つまり、相続人にとってみれば、遺言者に遺言で約束してもらっても、遺言者の死亡後、必ずしもその時の内容のまま実現するとは限らないということになります。
 遺言は、あくまで、遺言者の死亡時(にできるだけ近い時点)の意思を、状況等と照らし合わせた上で実現しようとするものであり、遺言者が死亡するまでその内容は確定しないものであって、いつでも変更されるということを、理解していたほうがよいでしょう。


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