平成15年の判例として、「清算対象財産の形成には、被告(夫)が公認会計士という特別の資格を有して高額の収入を得てきたことが多大な貢献をしていることが明らかであるが、他方、原告(妻)も、家事及び育児の全てを取り仕切ってきたばかりでなく、自宅マンション購入の際の頭金として婚姻前からの預貯金約225万円及び母からの交付金200万円を支出したのであって、上記財産の形成、維持に少なからぬ貢献をしてきたと認められ、本件に顕れた諸般の事情を総合考慮すると、上記財産に対する原告(妻)の貢献、寄与の割合は3分の1と認めるのが相当である。」とするものがある。
 自宅マンション購入の際の頭金は、別の考慮とした方が、筋が通るようにも思われるが、裁判所は、ざっくりと判断している。

 また、平成12年の判例として、夫が1級海技士の資格を持ち、1年のうち6か月ないし11か月の海上勤務をして、多額の収入を得ていたケースについて、資格を取得したのは夫の努力によるものというべきであり、海上での不自由な生活に耐えた上での高収入であれば、夫の寄与割合を高く判断することが相当であるとして、妻に対して支払われる金額を、形成財産の約3割としたものがある。

 ただし、この判例のような感覚が、現代でも妥当するのかどうかは、不明である。最近の判例では、あまり見つけられないように思われる。


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