夫の経済的破綻のために、離婚に至ることは、よくあることである。
 夫に、そもそも経済観念がなく、生活費すら手に入らないという場合もあるし、経済的破綻と言っても、いろいろなケースがある。
 その中で、弁護士として考えさせられることが多いのは、夫の事業失敗により自宅を失うことになった場合の夫婦のあり方である。
 ある程度の(あるいは、相当に高い)収入があることを前提に結婚したのに、その見込が違ったという場合、どういうことが起こるだろうか。
 夫婦の問題は愛情の問題なのだから、夫の経済的破綻で離婚することなど、およそ考えられないと思う人も多いだろう。逆に、経済的安定こそ全ての基本なのだから、離婚は当然と考える人もいるだろう。
 しかし、一番問題として浮上してくるのは、妻の親が、経済的に破綻した夫のもとに娘(妻)を置いておけないと離婚を求めることだろう。
 経済的に破綻した夫は、弱い立場にあり、妻の親に対して充分な意見が言えない。夫は孤立無援の状態になる。逆に、夫が、正論として、十分な意見を言うと、火に油を注ぐことになる。
 妻は、経済的保護が必要であり、自分の親に対して意見は言えない(言わない)。
 男として、このような状況にならないよう、事業に取り組む必要がある。
 しかし、注意して見ると、夫の経済的破綻は、1つのきっかけにすぎず、それまでの夫婦のあり方に問題があったことが多い。それまで我慢してきた妻の不満が爆発したという場合も多い。
 事業への専念と、夫婦の間の目配りは、バランスをとって、注意して行う必要があると思う。


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