これは、野末陳平さんが1984年に出された本である。今から見ると当然のことだと思うが、当時は必要な指摘だったのだろう。
 この本を改めて読み直してみると、なんと第1章は次の文章で始まっていた。
 「妻の財産のうち、何といっても一番大きいのは、夫です。土地やお金はこれから形成できるけれど、夫という財産は即席で簡単に作るわけにはいきませんし、何しろこれまで数十年人生のモトがかかっています。『夫のどこが財産なの?』と問われるまでもなく、ズバリいって、夫はほっといても給料を運んでくれる、ありがたい、お金の運び屋です。おまけに、年金と保険つき。これが財産でなくて何でしょう。」
 「『それにしちゃ、給料が安いわ』こんな愚痴いったら、バチがあたる。給料とるのはどんなに大変か、パートに出たり内職やれば、お金を稼ぐ辛さがわかるでしょう。夫はたとえ体調が悪くても会社へ行く、お店に出る。イヤなことがあっても、ガマンして仕事に励む。そして必ず給料を運んでくるのです。給料が安いからといって文句いわれちゃ、夫の腹の虫がおさまりません。」

 男性の立場からすると、当時はこんなことを言ってくれた人もいるんだと驚く。
 男性からの相談を受けていると、こうしたことを理解していないという不満が根底にあることが多い。
 女性の立場からすると、子育ても大変だし、仕事をもっている人も多いから、その場合、家事の負担も大きいと言えるだろう。
 しかし、経済的基盤をつくることについては、もっと評価されても良いと思う。


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