「おばあちゃんとして生きたかった。」

 弁護士として、離婚に関連した紛争の中で対応しているとき、相手方の女性から、「離婚などしないで、おばあちゃんとして生きたかった。」と言われたことがあり、「はっ」としたことがある。ただし、その女性は、自ら離婚手続を始めているので、無理やり離婚を求められたものではない。

 「喜びも悲しみも幾歳月」のように、人生で色々あったが、最後は、おじいちゃん、おばあちゃんとして残ったというのは良いことだと、年を経て感ずる。相手方の女性も、このことを感じていたのかもしれない。私は、そのことに「はっ」としたのである。しかし、同時に、それならば、もっと別の道を考えた方が良かったのではないかとも思った。

 人生の全体を頭において物事を決めることは、誰にとっても難しいことだろう。また、そのようなアドバイスは、昨今、受けにくい。我慢することを最初から求めるものではないが、我慢も大事だと思う。


投稿者名 管理者 投稿日時 2012年11月01日 | Permalink