商法(運送・海商)の改正(7)旅客運送
旧商法は、もともと旅客運送に関しては、損害賠償(人身・手荷物)の責任規定を、3箇条置いているだけだった。
様々な議論を経て、結局、置かれた新条文は、6箇条に増えた。増えたというよりは、6箇条に止まったと評する方が正しいだろう。
特筆すべきは、人身損害に関して、免除・軽減特約を無効とする片面的強行規定を新設したことである。分科会では、この点が最大の論点となったということである。
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(特約禁止)
第五百九十一条 旅客の生命又は身体の侵害による運送人の損害賠償の責任(運送の遅延を主たる原因とするものを除く。)を免除し、又は軽減する特約は、無効とする。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 大規模な火災、震災その他の災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において運送を行うとき。
二 運送に伴い通常生ずる振動その他の事情により生命又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者の運送を行うとき。