商法(運送・海商)の改正(4)高価品の特則の責任限定
高価品の特則については、悪意又は重過失がある場合にも、免責を認めるべかどうかで、これまでも論争があり、一部の下級審では、重過失の場合に完全免責は認めず、普通品としての損害に限定したものもあった。
改正の作業では、「無謀な行為」に限るという考え方も出されたが、日本の法律にあまりなじみのない用語であることから、「故意又は重過失」がある場合には、高価品特則に基づく免責はされないこととなった(新商法577条2項2号)。かつての東京地裁の考え方は多数説であったので、それに従うこととなった。
また、同様に、運送人が高価品であることについて悪意である場合も、高価品特則免責はされないこととなった(新商法577条2項1号)。