養子縁組をした場合,原則として養子の氏は養親の氏に変更されます(民法810条本文)。ただし,養子が婚姻して氏を変更していた場合(民法750条),変更した氏を称している間は養親の氏に変更されません(民法810条但書)。

 さて,養子縁組時の戸籍変動はどうなるのでしょうか?

 独身者が養氏となる場合,養子は養親の戸籍に編入します(戸籍法18条3項)。その際,養親が戸籍筆頭者又はその配偶者でない場合,新戸籍が作成された上で(戸籍法17条),養氏も新戸籍に編入します。
 
 既婚者の方が養子になる場合,養子縁組届上に養子配偶者の同意が必要となり(民法796条本文),養子とその配偶者で新しく新戸籍が作られます(戸籍法20条)。その際,養子に子供がいる場合には,新戸籍への入籍届を別途提出する必要があります(戸籍法98条1項)。

 なお,氏については,例えば養子(夫)の妻の氏は,民法750条によって変更されますし,養子の子は入籍届によって同じ名字を名乗ることができます(民法791条2項・裁判所の許可は不要)。


不動産を子孫に残す方法としては、次のものがあります。
1 自分が死亡したときに、相続させる。(遺言で指定することができます)
2 生前に、贈与税の非課税枠を考えて、少しずつ贈与する。
3 親族間での売買を行う。
4 不動産を会社所有とし、会社の株式を贈与ないし売買する。

1?3の方法は、登記手続きが必要ですが、4の方法は、会社で所有する際には登記手続が必要ですが、株式の譲渡の際には、いちいち登記手続は不要です。

不動産を会社名義で所有することは、基本的な考え方において、違いがあると言ってよいと思います。
ご先祖様から多くの不動産を相続された方を拝見しますと、個人所有のままとされる方が多いように思います。
この場合、相続が発生するたびに、所有関係をどのようにするか決めなければならず、紛争の種が残ると言わざるを得ません。
共有で不動産を所有される方も多いのですが、共有状態は、処分・管理の上で、相当に制限されるとお考えになった方がよいと思います。
したがって、どこかの時点で不動産を会社名義とし、会社の運営ルールに基づいて不動産を管理することを考えるべきです。


どのような不動産を所有するべきかという問題は、大事な問題ですが、ここではふれないこととします。
基本的には、不動産も、その収益性に着眼して所有するべきだと考えています。

子孫が株主である会社で融資を得て収益性のある不動産を取得する場合、不動産からの収益で、借入金の返済が十分に可能な物件もあります。

もちろん、子孫が株主である会社が融資を得られるためには、親として、いろいろとやるべきことはあります。
また、子孫が株主である会社が、借入金の返済に窮した場合(不動産のテナントが退去した場合など)に、親として貸付が必要な場合もあります。

このような親としてのサポートは必要なのですが、収益性のある不動産を、最初から子孫が株主である会社に取得されることにより、実質的な相続を前倒しで行うことができるのです。このことの経済的な効果は非常に大きなものがあります。

収益性のある不動産を、親が個人名義で取得してしまうと、不動産からの収益を親が取得することとなり、親が自分で遣ってしまうならば別の話ですが、蓄積された収益をどうするのかという問題がすぐに生じてくるのです。


 相続をめぐる紛争は、いつの世にも尽きない。
 しかし、法律家の立場で言えば、予防することはできる。多くの人は、何もしないから、紛争が生じる。何もしなくても、紛争が生じないことはある。それは、相続人がうまく育ったからで、いつでもそれが期待できるものではない。
 もちろん法律的に予防ができたから、相続人が全員ニコニコとなるものではない。いろいろな不満は残るかもしれない。財産を残した人(被相続人)による、相続人に対する評価が入るから、評価に対する不満は残るだろう。
 しかし、紛争が発生する余地を消し去ることができるならば、相続人は、それを受け入れるしかない。どこかで気持ちの切替ができるだろう。それをしてもらうしかない。
 財産を持つ人は、このことをよく考えるべきだ。