支払条件の変更

 約束(=契約)を遵守することで信頼は生まれてくるものですが,一旦交わした約束を変更したとき,それが平素の対応はもとより,やむを得ない事情変更によるものか否かで,信頼関係を大きく崩すことになります。

弁済期の猶予

 シンプルに,取引先が弁済期の猶予(=延長)を希望してきた場合,数日ならいいよと対応している方が少なくありません。
 それまで支払をキッチリこなしてきた人からの申出であれば,何かトラブルに巻き込まれたのか,社業が上手くいっていないのか,心配するのが本当の信頼関係です。まずは,事情をしっかりと聞きましょう。
 末期レベルの自転車操業だと発覚した場合,債権者としては今後の取引継続の可否,取引先としての支援の有無等,決めることが沢山発生します。

手形決済の細かな変動

 約束手形による代物弁済は,一昔前に比べて激減していますが,それでも製造業界(特に中小企業)では依然として希望する声があります。これは,大きな会社から振り出される約束手形自体に,そうした会社と取引関係を持っていることを示す信用力に期待しているからです。
 親会社・大会社側の要請としては,経理部門の手形対応人件費削減のため,現金決済を進めていきたいというのが本音ですが,下請・中小企業側から振込決済への変更を希望された場合には注意が必要です。振り出した手形の決済に向けた当座預金の残高が不足し,不渡りになることを危惧しての対応かもしれないからです。
 また,買掛金の支払を,親会社その他大手企業からの廻り手形をもって代物弁済していたのが,聞きなれない会社の約束手形に変わっていたり,自社振出しの約束手形に変更されていた場合にも,要注意です。既に信用不安から現金決済を断られている状況に陥っていたり,資金繰りに困って“空”手形を乱発している可能性があるからです。


投稿者名 柴垣直哉 投稿日時 2017年06月16日 | Permalink