監護の継続性維持

 未成年者の生活状況が,一方当事者の下で一定期間以上平穏に生活している場合において,更なる環境変化が未成年者にとって肉体的・精神的に負担であることから,現状を尊重すべきとの経験則が導かれます。

判断要素としての比重の高さ

 一般的な離婚紛争は,一方当事者が未成年者を連れて別居した上で,示談・調停・訴訟というプロセスを経ることになります。そうすると,別居後から現在に至るまでの間,相当程度の時間が経過してしまうため,結果として子供を連れて別居した当事者が一時的監護者となり,当該判断要素故に親権を獲得し易くなってしまっているのが現状です。
 上記現状は,未成年者の“連れ去り”を間接的に促進しており,専門家の中でも子連れ別居を推奨する方が少なくありません。しかし,無計画な連れ去り行為は,子の福祉に反して違法になる可能性もあり,多くの問題を秘めています。

“現在”ではなく“過去”の監護状況が大切

 “現在”の監護状況のみを尊重すると,未成年者の奪い合いを助長してしまうことになります。そのため,真に検討すべきは過去の監護状況となる訳です。
 この点,男性は仕事,女性は家庭といった旧態依然の家庭世帯では,未成年者と接する時間が圧倒的に女性の方が多いため,離婚時の親権指定には男性不利になります。今でこそ“イクメン”という言葉も生まれてきましたが,家庭を顧みない父親に親権獲得は望めません。
 平素から養育監護に尽力していることを立証するには,地道な積み重ねが求められます。乳幼児であれば,保育園への送迎・連絡帳作成,行政実施の定期健診といった部分への積極的関与が考えられるところです。


投稿者名 柴垣直哉 投稿日時 2016年03月10日 | Permalink