W不倫

 A(夫)とB(妻)、C(夫)とD(妻)の2組の夫婦がある中で、AとDが不倫関係になった場合、Bがそれに気がつくと、Dに対して慰謝料請求する事態となりうる。
 この場合、Dは、C(自分の夫)に対して、事態を知らせるのかどうかむつかしい局面が生ずる。
 Cが事態を知ることなく、慰謝料問題が決着するならば、CとDとの夫婦は平穏のままということもありうる。
 逆に、Dが事態をCに知らせ、CがAに対して慰謝料請求するという事態に発展することもありうる。この場合、BがAとの離婚までは望まず、関係修復を考えているときは、Aの窮地がBにも影響するため、Bも困ることになる。
 Dが自らの離婚も覚悟して、Cに事態を知らせることは、場合により、BのDに対する追及(慰謝料請求)に大きな影響を与えることになる。
 このような力学関係があることは、理解しておく必要がある。

1 慰謝料とは

離婚に伴う慰謝料とは、離婚の原因を作った側が苦痛を受けた側に支払う損害賠償金のことをいいます。

慰謝料が認められる典型例としては、
・不貞行為
・暴力
・婚姻生活の維持に協力しない
・性交渉の拒否、性的不能
等があげられ、この有責の割合が慰謝料の金額に影響します。


慰謝料は、夫婦のどちらか一方に有責行為がある場合に、請求が認められます。
そのため、双方に有責行為がないもの、逆に双方に有責行為がある場合、一方の責任とは決められない場合には慰謝料の請求は認められません。

2 支払い能力がない相手への慰謝料請求

通常、夫(もしくは妻)が、不倫関係にあった場合、妻(もしくは夫)はその不倫相手に慰謝料を請求することができます。

調停で不倫相手がこちらの提示した慰謝料の額で納得した場合、もしくは裁判でこちらが勝訴した場合、どちらも不倫相手には慰謝料を支払う義務が発生します。

では、その不倫相手が支払い能力がない場合はどうでしょうか。
たとえ、その不倫相手が破産し、免責決定(今までの借金を支払わなくてもよくなること)が出ても、慰謝料は免責されません。慰謝料を支払う義務はそのまま存在します。

しかしながら、その不倫相手に差押をすることができる財産がない場合、裁判で勝訴を勝ち取ったものの、それがただの紙切れでしかないこともあります。

3 不貞行為に対する慰謝料請求の時効

民法第724条では、不法行為の損害賠償請求(慰謝料の請求)は行為のあったときから20年か、損害の事実と不貞行為の相手を知ったときから3年で時効が消滅するとしています。(いずれか短い方)

 そのため、不貞行為の相手が分かっている時は、最後の肉体関係があったときから3年以内に慰謝料を請求しなければ時効消滅します。

 配偶者に対する慰謝料請求は、離婚しない場合は不貞行為を知ったときから3年以内、離婚した場合は、離婚の成立した日から3年以内であれば慰謝料請求できます。

 もし時効がもうすぐという場合は、とりあえず内容証明郵便で請求しておくことで時効を一時的に止めることができます。しかしながら、そのあと半年以内に裁判を起こさないと時効が成立してしまいます。